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|| 2010年11月21日


Wowmax Media!代表・海部正樹氏講演会@LA

11月19日、「SOUL TAKER」や「HEROMAN」などの作品のプロデューサーとして知られる海部正樹氏(Wowmax Media!代表)の講演会、"What is Japanese "Anime"?"がロサンゼルスの南にあるアーバイン市で行われました。

この講演会は、日本のアニメーションに興味のある学生を対象にしたもので、日本のマンガの歴史からアニメーションの歴史、日米のマーケットの違いについての内容。


講演会は大学で行われ、集まった参加者の多くは地元のアニメ好きの学生。

講演会では、まず、Wowmax Mediaが制作した、海外でリメイクされた日本の映画作品や日本のエンターテイメントコンテンツの魅力を紹介するプロモーションビデオが上映されました。

ムービーの途中に登場した「呪怨(洋題"The Grudge")」や「Shall We Dance?」など、米国でも人気を博した映画が実は日本がオリジナルだと言うことを知ると、参加者からは驚きの声があがる場面も。

上映後、海部氏の自己紹介と共に今回のテーマである、"What is Japanese "Anime"?"と、自身が携わった作品についてを紹介。


日本の漫画の歴史を「鳥獣人物戯画」を使いながら、なぜこの作品が最古の漫画なのかを紹介。


「鳥獣人物戯画」には、「ふきだし」など基本的な手法が既に描かれていることを紹介。

今回は「アニメーションとは何か?」という本題の前に、まず漫画の歴史についてのレクチャーが行われました。スクリーンには、「鳥獣人物戯画」が映し出され、この絵巻物が日本最古の漫画であると紹介し、その理由を、実際に絵の中に描かれている手法を最近の作品と見比べながら分かりやすく説明。会場にいた参加者は海部氏の説明に聞き入っており、中には細かくメモをとる参加者の姿もありました。


巨匠・手塚治虫を漫画家とだけではなく、日本初のアニメプロデューサーとして紹介。

「何故アニメーションの講演会で、漫画について説明をしているのか」を手塚治虫の作品と共に説明。「漫画の神様」と称される手塚治虫は、実は漫画家だけではなく日本初のアニメプロデューサーであると紹介し、手塚治虫の功績を語ると共に、日本のアニメーションは80%以上が漫画を原作にしていることを紹介。

次のセクションでは、日本のアニメーションと米国の市場と大きな違いを海部氏自身の代表作、「SOUL TAKER」の北米版DVDパッケージと日本で発売されたDVDのパッケージを見比べながら説明。

海部氏によると、「米国では「クール」な作品は売れるが、日本では「可愛い」がないと売れないので、北米版の「SOUL TAKER」はクールで正義のヒーローを前面に押し出したパッケージにしたが、日本ではヒロインを前面に押し出した。」とのこと。


パワパフガールズの日米版を見比べながら市場の違いを説明。

続いて、日本でも人気を博した米国アニメ、「パワパフガールズ」の日米版を引き合いに出し、両作品がいかに違うかを比較。海部氏は「オリジナルもすでに可愛いけど、これだけでは日本で売れないので、日本のマーケットに合った絵柄に大幅に変更した。」と説明。また、「日本版では主人公たちが武器を持っているが、日本ではおもちゃ関連グッズが売るために追加した。」とも紹介。

海部氏曰く、「タイトルにZを付けましたが、これは、ドラゴンボールが「Z」が付く前は全然売れず、Zを付けたら爆発的にヒットしたから、それにあやかりました。」とのこと。嘘のような話ですが、実際にあった話のようで、日本の特殊な市場を分かりやすく解説してくれました。

そして、講演会の後半には、Wowmaxが企画した作品、「HEROMAN」の誕生秘話が語られました。

HEROMAN」は、アメコミの巨匠・スタン・リーが原作を務め、日本のアニメーションスタジオ、ボンズが制作したアニメーション作品。日米のコラボレーション作品として話題となった作品。

海部氏は、「この作品が生まれるまでには、日米間の違いによる苦労が多数あった」と説明。前述にあったように、現在の日本のアニメーションは、80%〜90%が漫画や小説などを原作にした作品が多く、0からアニメーションを作り出すのにはあまり慣れていないという事情があります。この作品の企画中、日本の制作陣がスタン・リー氏との間で何度も話し合いが行われ、綿密な計画の下製作が行われたと語っていました。

また、制作当時、日本のスタッフが物語や設定などの詳しい説明をスタン・リーに何度も求めたこともあったようですが、大抵はスタン・リーは「それはお前たちが考えろ」と日本のオリジナリティーに期待を込めて、あえて一蹴することも多く、日本のスタッフの苦労話や作品を作る上での日米の意識の違いを米国の参加者に紹介していました。

日米クリエイターの考え方の違いで、特に大変だった話の一つに、「HEROMAN」そのもののデザインの話がありました。海部氏は、「日本人は、「強さ」にスピードを求める傾向にあるので、当初はスマートなデザインにしたが、スタン・リーに見せたら「この腰ではすぐに折れるだろ?ヒーローはとにかく「デカく」、「重い」イメージがないとダメだ!」と両者の「強さ」に対する表現の違いがあった。」と語り、最終的にデザインが決まるまで何度もリテイクが行われたことを話していました。

ただし、キャラクターについては、「完成したキャラクターをスタン・リーに見せたら、どれを見せても、とにかく"Wow!" "Great!" "Wonderful!"と言われ、特にこだわりは無かった」とも語っていました。ちなみに、キャラクターのデザインが決まった当初、スタン・リーに主人公の親友である「サイ」を見た途端、「松葉杖を付いている主人公なんて、とても面白いんじゃないか!?」と彼を大変気に入り、彼に主人公に変更しようとした経緯や、スタン・リーを説得するのに相当な苦労があった裏話も紹介していました。


HEROMANのオリジナルデザイン案。


日米クリエイターの考え方の違いを乗り越えて5年の歳月をかけて生まれた「HEROMAN」


最後は、「HEROMAN」の上映がされました。

今回の講演会では、「日本のアニメとは何か?」というテーマで、日本のアニメーションの歴史やその特徴などについての紹介が主でしたが、講義の後半では「HEROMAN」の誕生秘話などについての詳しい紹介もあり、参加した学生にとって大変貴重な講演会になりました。

また、講義終盤に行われた質疑応答では、「日米のマーケットの違い」や「プロデューサーとして必要な事」などのビジネス寄りの質問がされ、将来、日米合作の作品が数多く生まれる可能性を感じました。

海部氏は、現在新たな日米合作の制作を計画中で、WowMax Mediaの今後の活動にさらなる注目をしていきたいです。

文・写真 ヨシ沢



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